時間栄養学とは?「いつ食べるか」が体に与える効果

「同じものを食べているのに、なぜか体型が変わった」
「ダイエットは食事内容だけの話だと思っていた」

——そんな経験はありませんか。

実は近年、「何を」「どれだけ」食べるかだけでなく、「いつ食べるか」が身体に大きな影響を与えることが分かってきています。

この分野を扱うのが「時間栄養学」です。

今回は、時間栄養学の基本的な考え方から、日常生活での活かし方までご紹介します。

目次

時間栄養学とは何か

時間栄養学(Chrononutrition)とは、食事の「タイミング」に着目した栄養学の一分野です。

従来の栄養学が「何を」「どれだけ」食べるかを中心に扱ってきたのに対し、時間栄養学は「いつ」食べるかという視点を加えます。

同じ食品・同じカロリーであっても、摂取するタイミングによって身体への影響が異なる可能性がある、というのがこの分野の基本的な考え方です。

なぜ「食べる時間」が重要なのか——体内時計のしくみ

私たちの身体には「体内時計」と呼ばれる仕組みが備わっています。

脳の視交叉上核という部分にある「中枢時計」が、主に光の刺激によって1日のリズムを刻んでいます。

一方、肝臓・筋肉・脂肪組織など全身の臓器にも「末梢時計」と呼ばれる仕組みがあり、こちらは食事のタイミングによって同調(リズムを合わせること)しやすいとされています。

中枢時計・末梢時計の分布イメージ図 | リハルモ ブログ素材案
中枢時計 (脳・視交叉上核) 主に光で同調 末梢時計 (肝臓・筋肉・脂肪組織など) 主に食事のタイミングで同調
中枢時計は脳の視交叉上核に、末梢時計は肝臓・筋肉・脂肪組織など全身の臓器に分布している。中枢時計は主に光で、末梢時計は主に食事のタイミングで同調するとされる。
中枢時計の分布(脳・視交叉上核) 末梢時計の分布(肝臓・筋肉・脂肪組織など)

つまり、光を浴びるタイミングで中枢時計が、食事のタイミングで末梢時計が、それぞれ調整されているというイメージです。

この2つの時計がうまく噛み合っていない状態(たとえば夜遅くまで食べ続ける生活)は、代謝面でのリズムが乱れる一因になりうると考えられています。

体内時計の同調イメージ図 | リハルモ ブログ素材案
食事の時間が規則的な場合 中枢時計 (脳・視交叉上核) 同調 末梢時計 (肝臓・筋肉・脂肪組織) 食事 → 体内時計が同調しやすい 食事の時間が不規則な場合 中枢時計 (脳・視交叉上核) ズレ 末梢時計 (肝臓・筋肉・脂肪組織) 食事 (夜遅い食事など) → 体内時計にズレが生じやすい
光は中枢時計(脳の視交叉上核)を、食事は末梢時計(肝臓・筋肉・脂肪組織など)を同調させる。食事の時間が規則的なら両者は同調しやすいが、夜遅い食事など不規則な食事が続くと、末梢時計が中枢時計からズレやすくなる。
光による同調 食事による同調 体内時計のズレ

時間栄養学が明らかにしてきたこと

同じ食事でも、時間帯によって代謝への影響が変わる可能性

研究では、同じ内容・同じカロリーの食事であっても、摂取する時間帯によって血糖値の上がり方やエネルギーの使われ方に違いが見られることが報告されています。

脂肪の合成に関わるとされるタンパク質(BMAL1など)の働きが夜間に高まりやすいとする研究もあり、同じものを食べるなら日中の方が脂肪として蓄積されにくい可能性がある、とする指摘があります。

朝食が体内時計を整える

朝食を摂ることが末梢時計を中枢時計に同調させるきっかけになる、と考えられています。

逆に朝食を抜く生活を続けると、体内時計のリズムが乱れやすくなり、日中の代謝や血糖コントロールに影響する可能性が指摘されています。

就寝前の食事について

就寝直前の食事、特に高カロリー・高脂質な食事は、体内時計のリズムや翌日の代謝に影響しうるとする研究があります。

「何を食べるか」だけでなく「いつ食べ終えるか」も、身体にとって意味のある情報のひとつと言えそうです。

朝のタンパク質摂取と筋肉づくり

近年注目されているのが、タンパク質摂取のタイミングです。

1日の摂取量が同じでも、朝食でしっかりタンパク質を摂ることが、筋肉の維持・合成の面で有利に働く可能性がある、とする研究が増えてきています。

「タンパク質は夕食にまとめて摂ればいい」という考え方だけでなく、朝からの分散摂取という視点も、時間栄養学ならではの知見です。

日常生活での活かし方

時間栄養学の知見は、特別な準備をしなくても、今日の生活からいくつか実践できます。

  • 朝食を抜かず、できればタンパク質(卵・乳製品・大豆製品など)を含める
  • 夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませる
  • 就寝直前の高脂質な食事・間食は控えめにする
  • 毎日できるだけ同じ時間帯に食事を摂り、体内時計のリズムを安定させる
  • 朝に光を浴びる習慣と合わせることで、中枢時計・末梢時計の両方を整えやすくなる

大きな食事制限をしなくても、「食べるタイミングを整える」ことから始められるのが、時間栄養学の実践しやすいところです。

伴走コースでの活用

プレミアム伴走コースでは、食事の内容だけでなく、食事のタイミングについても振り返りの対象にしています。

InBodyの測定結果と合わせて、生活リズムに沿った無理のない食事タイミングのご提案も行っています。

まとめ

  • 時間栄養学は「何を」「どれだけ」に加え「いつ食べるか」に着目した栄養学
  • 体内時計には光で整う「中枢時計」と、食事で整う「末梢時計」がある
  • 同じ食事でも時間帯によって代謝への影響が異なる可能性がある
  • 朝食・就寝前の食事タイミング・タンパク質の朝摂取などが、実践のポイントになる
  • 大きな変化を求めなくても、「食べる時間を整える」ことから始められる

免責事項:本記事でご紹介している内容は、は、時間栄養学分野における一般的な研究知見の紹介であり、特定の疾患の治療・診断を目的とした医療的指導ではありません。個人差があり、研究段階の知見も含まれます。持病のある方、服薬中の方は、食事内容・タイミングの変更前に医師にご相談ください。

参考文献・関連リンク

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット:「体内時計」関連ページ
  • Asher G, Sassone-Corsi P. “Time for Food: The Intimate Interplay between Nutrition, Metabolism, and the Circadian Clock.” Cell, 2015.
  • Panda S. The Circadian Code. Rodale Books, 2018.
  • Kutsuma A, et al. “Potential Association between Breakfast Skipping and Concomitant Late-Night-Dinner Eating with Metabolic Syndrome and Proteinuria in the Japanese Population.” *Scientifica*. 2014;2014:253581. PMID: 24982814.
  • Vujović N, et al. “Late isocaloric eating increases hunger, decreases energy expenditure, and modifies metabolic pathways in adults with overweight and obesity.”
  • Shimba S, et al. “Brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), a component of the molecular clock, regulates adipogenesis.”
  • 早稲田大学 柴田重信教授らによる時間栄養学研究

InBody測定 × 行動アドバイスで、食事のタイミングも一緒に見直しませんか?

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